命令型インドネシア語文法

命令型インドネシア語文法の基本構造

インドネシア語の命令文は、主に動詞の基本形を使って表現されます。英語の命令文に相当し、主語が省略されることが一般的です。以下に命令文の基本的な特徴をまとめます。

主語の省略: 命令文では主語「あなた（kamu）」がほとんどの場合省略されます。
動詞の基本形使用: 命令は動詞の原形で表現され、特別な活用は不要です。
否定命令: 命令の否定形は「jangan」を動詞の前に置いて作ります。

例文で見る基本命令文

Makan!（食べて！）
Berhenti!（止まって！）
Jangan lari!（走らないで！）

これらの文は短く、直接的で、日常会話で頻繁に使われます。

命令型の丁寧表現と敬語的用法

インドネシア語には敬語の体系は日本語ほど複雑ではありませんが、命令文においても丁寧さを表現する方法があります。特にビジネスやフォーマルな場面で重要です。

丁寧な命令文の作り方

「tolong」を使う: 「tolong」は「どうか～してください」という意味で、命令文を柔らかくします。例：Tolong duduk.（座ってください）
「silakan」を使う: 「どうぞ～してください」という意味で、相手に選択の自由を与えるニュアンスがあります。例：Silakan masuk.（どうぞ入ってください）
丁寧な依頼文: 「mohon」を使うことでさらに丁寧な依頼になります。例：Mohon tunggu sebentar.（少々お待ちください）

丁寧命令文の例

Tolong buka jendela.（窓を開けてください）
Silakan duduk.（どうぞお座りください）
Mohon jangan merokok.（禁煙にご協力ください）

命令文の否定形と使い分け

命令文の否定形は、相手に何かをしないように伝える際に使われます。インドネシア語では「jangan」が基本的な否定命令のマーカーです。

否定命令文の構造

「jangan」＋動詞の基本形

否定命令文の例

Jangan merokok di sini.（ここでタバコを吸わないでください）
Jangan berbicara keras.（大声で話さないでください）
Jangan lupa membawa dokumen.（書類を持ってくるのを忘れないでください）

否定命令と禁止標識の違い

公共の場などでよく見かける禁止標識は、命令文の否定形と似ていますが、より強い禁止の意味合いを持ちます。例：「Dilarang merokok」（禁煙）など。

命令文に使われる動詞の活用と接頭辞・接尾辞

インドネシア語の動詞は、接頭辞や接尾辞の付加によって意味やニュアンスが変わるため、命令文でもそれらを理解しておくことが重要です。

一般的な接頭辞の例

me-：動作の主体が明確な動詞を作る。例：makan（食べる）→memakan（何かを食べる）
ber-：状態や動作の継続を表す。例：berjalan（歩く）
di-：受動態を表す。例：dilihat（見られる）

命令文での接頭辞の使用

命令文では、通常動詞の原形を使いますが、意味やニュアンスを明確にしたい場合に接頭辞を使うことがあります。特に「ber-」や「me-」を使った動詞は命令形でもそのまま使用可能です。

例

Berjalan cepat!（速く歩け！）
Memasak nasi!（ご飯を炊け！）

命令型の使い分けとニュアンス

命令文は単に指示を与えるだけでなく、話し手の意図や関係性によってさまざまなニュアンスが生まれます。

強い命令と柔らかい依頼の違い

強い命令: 動詞の原形のみ。例：Diam!（黙れ！）
柔らかい依頼: 「tolong」や「silakan」をつける。例：Tolong diam sebentar.（少しの間静かにしてください）

命令文における丁寧さの度合い

丁寧な命令は相手に対する敬意を示し、関係性を円滑にします。友人間では直接的な命令でも問題ありませんが、目上の人やビジネスシーンでは必ず丁寧な表現を使いましょう。